なにやら、台風が発生しているようでして。
週末に沖縄旅行を控える身としてはドキドキです。
ちなみに、5年前の沖縄旅行のときは台風一過。
全国で沖縄だけが晴天と言う状況でした。
週間予報を見ると、週末の沖縄は天気が良さそうですので、大丈夫であろうと確信しています。

さて、本題。
申請書等についての公証人の認証に関してです。
登記識別情報や登記済証がない場合等の手続です。

一度利用しそうになって、公証役場と打ち合わせまでしたんですが、その日の夜に、登記済証が見つかったことがありました。
そんなわけで、私は一度も利用したことがないんですが、利用している方も多そうですよね。

で、そんな方の一人から、結構前ですが聞かれたことがあります。
公証人の認証を提供して、登記申請をしたら法務局から登記義務者に事前通知が送られたそうです。
そんなことあるのか?とのことだったので調べてみたことがあります。

まず、不動産登記法第23条。
(事前通知等)
第二十三条  登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。
2(省略)3(省略)
4  第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号のいずれかに掲げるときは、適用しない。
一(省略)
二  当該申請に係る申請情報(委任による代理人によって申請する場合にあっては、その権限を証する情報)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録について、公証人(公証人法 (明治四十一年法律第五十三号)第八条 の規定により公証人の職務を行う法務事務官を含む。)から当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めるとき。
と言うことで、法第23条1項で事前通知しなければならない旨を規定し、第4項で1項の規定を適用しない場合を設けています。
その、第4項第2号が公証人の認証による場合ですよね。

で、先ほどの「公証人の認証を提供して、登記申請をしたら法務局から登記義務者に事前通知が送られた」件なんですが、もしかして「かつ、登記官がその内容を相当と認めるとき」に該当しなかったと言う要件に該当しなかったってことはないですかね?
なーんて思いながら、さらに突き詰めてみました。

次は、平成17年2月25日付け法務省民二第457号民事局長通達の抜粋です。
第1 法の施行に伴う登記事務の取扱い
10 申請書等についての公証人の認証
申請人が正当な理由により登記識別情報を提供することができない場合において、申請書等について公証人から当該申請人が法第23条第1項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、登記官がその内容を相当と認めるときは、事前通知を省略することができることとされた(法第23条第4項第2号)。
なお、この取扱いの対象となる認証をすることができる者には、公証人法(明治41年法律第53号)の適用を受ける公証人のほか、同法第8条の規定により公証人の職務を行うことができる法務事務官も含まれる。
(1) 申請書等について次に掲げる公証人の認証文が付されている場合には、法第23条第4項第2号の本人確認をするために必要な認証としてその内容を相当と認めるものとする。
ア 公証人法第36条第4号に掲げる事項を記載する場合
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、右嘱託人の氏名を知り、面識がある。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、右嘱託人の氏名を知り、面識がある。
よって、これを認証する。」
イ 公証人法第36条第6号に掲げる事項を記載する場合
(ア) 印鑑及び印鑑証明書により本人を確認している場合の例
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、印鑑及びこれに係る印鑑証明書の提出により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、印鑑及びこれに係る印鑑証明書の提出により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
(イ) 運転免許証により本人を確認している場合の例
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。
本職は、運転免許証の提示により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
又は
「嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)したことを自認する旨陳述した。
本職は、運転免許証の提示により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。
よって、これを認証する。」
(2) 申請書等についてされた公証人の認証が、委任による代理人により嘱託された申請書等についての認証であるときは、法第23条第4項第2号に規定する「登記官が本人確認をするために必要な認証としてその内容を相当と認めるとき」に当たらないものとする。
(3) 申請書等についてされた公証人の認証が、急迫な場合で人違いでないことを証明させずにした認証(公証人法第36条第8号参照)であるときは、証書を作成した後3日以内に上記(1)の基準に適合する認証がされたもの(公証人法第60条において準用する第28条第3項)に限り、相当なものとして取り扱って差し支えない。
と言うような取り扱いになっています。
つまり、この通達の内容を満たしていれば、「相当と認められる」わけです。

以上のことから、公証人の認証を提供して登記申請をしたのに、法務局が登記義務者に事前通知をしたのはおかしんじゃないの?と言うのが私の結論ですね。

仮に法務局側が「通達に『事前通知を省略することができることとされた(法第23条第4項第2号)』と書いてあるではないか!だから省略しなくてもいいんだ!」と言ってきたとします。

でも、この「できる」ってのは作文の言い回しですよね。
「してもいいし、しなくてもいい」と言う意味での「できる」ではないとおもいます。

その根拠として、引用している法第23条第4項第2号には「第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号のいずれかに掲げるときは、適用しない。」と明記してありますから、「適用しちゃダメなんだ!」と反論すれば、それ以上の議論にはならないと考えますがいかがでしょうか?

なお、引用した条文や通達については、必ず原文を確認して下さいね。