昨年、休眠抵当権の抹消登記のために、供託手続きの代理をしました
まぁ、ウチの事務所では滅多にない供託手続きの代理なんですが、今年は1月から依頼がありましてね。
2年連続で供託事件の受託をするのは珍しいです。

今回の供託は、会社法第141条第2項を法令条項とする供託です。
・・・恥ずかしながら、今回の手続きの流れをよく理解していませんでした。
実際に受託しないと、あやふやな部分って多いですよね?
まだまだ、勉強不足です。

株式の譲渡制限が定められている場合、株主が株式を譲渡するにはその定めにより、取締役会等の承認を受ける必要があります。

(株主からの承認の請求)
第百三十六条  譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。


(譲渡等承認請求の方法)
第百三十八条  次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一  第百三十六条の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
ロ イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
ハ 株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨


上記請求をされた会社は、定められた機関により譲渡承認の可否を決めることになります。
その後、請求のあった日から2週間以内に株主に通知しなければならず、その通知をしなかった場合は譲渡承認したものとみなされます。

(譲渡等の承認の決定等)
第百三十九条  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2  株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

(株式会社が承認をしたとみなされる場合)
第百四十五条  次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
一  株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合
二  株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く。)
三  前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合

そして、会社が株式譲渡を承認しなかった場合に、会社もしくは指定買取人が株式を買い取ることの請求を受けていた場合には、会社が買い取るか、指定買取人を指定する必要があります。
今回のケースは、会社が買い取る内容なので、そちらの方で進めます。
会社が買い取る場合には、株主総会の特別決議で、会社が株式を買い取る旨と買取る株式の数決定しなければなりません。

株式会社又は指定買取人による買取り
第百四十条  株式会社は、第百三十八条第一号ハ又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  対象株式を買い取る旨
二  株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)
2  前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3  譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
4  第一項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部又は一部を買い取る者(以下この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。
5  前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。


そしてここで供託が登場します!
所定の金額を本店所在地の供託所に供託をし、譲渡等承認請求者に供託を証する書面を交付し、会社が株式を買い取る旨を通知しなければなりません。
ちなみに、前記の会社法第145条第2号のとおり、譲渡を承認しない旨の通知から40日以内に、この通知を行わなかった場合、譲渡を承認したものとみなされます。

(株式会社による買取りの通知)
第百四十一条  株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
2  株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
3  対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
4  前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

そんな感じで、供託をすることになったわけですが、この供託に関しては、供託書の「供託の原因たる事実」の記載例が見つかりませんでしたね。
そんなわけで、今回私が記載した内容を参考に書いておきます。

 供託者は、平成○年○月○日譲渡等承認請求者に対して会社法第139条第2項による承認しない旨の通知をしたので、会社法第140条第1項の規定により供託者の株主である被供託者の所有する株式○株の譲渡の相手方として自己を指定し、平成○年○月○日に同法第140条第2項・第309条第2項第1号に規定する株主総会の特別決議がされたので、被供託者に対し、売渡を請求するため、同法第141条第2項の規定により算定した所定の金額、金○円を供託する。

東京法法務局では上記内容で問題ナシだと思いますが、各案件ごとに管轄供託所で事前確認はして下さい。
なんだか、条文だらけの記事になってしまいましたが、以上ご参考まで。