ここ数年、外国に在住している日本人が登記名義人となっている案件が増えてます。
時間的に余裕を見た動きをしなければならないですよね。

外国に在住している日本人が登記名義人となっている場合に必要な書類としては、「署名(及び拇印)証明書」と「在留証明書」を在外日本領事館で取得してもらうことが多いと思います。

しかし、簡単に取得してもらうと言っても、私たちが区役所で印鑑証明書や住民票の写しを所得するようには気軽に取得できないですよね。
領事館での手続を一度で終わらせたいと言う依頼も少なくありません。

私の理想だと、売買による所有権移転登記のときは、まず在留証明書を取得していただき、その住所を印字した登記原因証明情報や委任状を作成して、委任状に合綴した署名(及び拇印)証明書を取得して欲しいと思うのですが、上記のような事情もあり、難しいこともあります。

ところで、署名(及び拇印)証明書には「形式1」と「形式2」があります。
「形式1」は、署名(及び拇印)する書類がある場合(日本から送られてきた書類がある場合)に、その書類と合綴して証明をしてくれる形式です。

「形式2」は、署名(及び拇印)する書類がない場合に、領事館で用意する書式による証明を行う場合です。
まぁ、国内で発行される印鑑証明書のような感じです。
ただし、現在発行されている「形式2」の署名(及び拇印)証明書には住所の記載が無いので、注意が必要だと思います。

そして、この署名(及び拇印)証明書に関しては、平成21年度東京登記実務協議会(東京司法書士会と東京法務局の協議会)で、以下のような見解が出ています(クリックすると大きくなります)。
実務協議

次に在留証明書ですが、こちらにも「形式1」と「形式2」があります。
「形式1」は現住所の証明書で、「形式2」は現住所と過去の住所と家族の証明がされます。

所有権移転登記の前提としての住所変更登記の添付書類として使用する場合ですが、記載内容に注意をしなければならないこともあります。
例えば、国内で取得した戸籍の附票の写しに記載されている住所を定めた日や、住民票の除票の写しに記載されている転出年月日として「平成29年12月15日」と記載されていて、在留証明書の住所を定めた年月日が「平成30年2月」となっている場合などです。

登記名義人に聞いてみると、一度、同国内で仮住まいをしてから現住所に移ったと言われたことがあります。
しかも、仮住まいの住所に関しては「形式2」の在留証明書でも証明できないとのことでした。
このようなケースに関して、以下の先例が出ています。

在外邦人の中間の住所移転の経緯について在外公館の証明を得ることができない場合において、在留証明書と削除住民票若しくは戸籍の謄抄本等により本人の同一性が確認できるときには、右の各書面に加えて、中間の住所移転の経緯及びこれについての証明を得ることができない旨の本人の上申書を提出すれば足りる。
(昭48.11.17、民三第8,525号民事局第三課長通知)


う〜ん、結構面倒なことになっちゃいますよね。
とにかく、外国に在住している日本人が登記名義人となっているときは、いつも以上に慎重に進めて行かなければなりませんね。