法務局に行くと、一般の方が登記申請に関する相談をしているのをよく見かけます。
他の法務局や地方法務局だとどうなのか分かりませんが、東京法務局では「登記相談」ではなく「登記手続案内」となりました。

東京司法書士会から東京法務局に申し入れをしたようです。
何を勘違いしているのか「登記相談」にもかかわらず、法的判断を法務局に求めている相談者も多かったようです。
また、それに応対をする、非司法書士行為とも見える状況もあったようです。

そんな、「登記手続案内」を受けた方が帰りに事務所に寄りましてね。
相続登記の依頼を受けました。
持参した書類を案内窓口で見せたら「自分でやるのはムリだから司法書士に頼んだ方が良い」と言われたようです。

まぁ、相続による所有権移転登記に関しては、自分でできなくもないような内容でしたが、依頼者本人も自分でやるのはムリと思ったようでした。
で、持参した書類をみたら、5年前に金融機関から送られて来ていた抵当権の抹消書類が含まれていました。

不動産の登記情報を取得したところ、当然ながら抹消登記はされていませんでした。
金融機関の登記情報を取得したところ、持参した書類に含まれていた解除証書と委任状に記名されている代表取締役は、すでに退任していました。

と言うことで、代理権不消滅による抵当権抹消登記をすることになります。
これに関しては、平成6年1月14日法務省民三第366号通知で内容が定められています。
登記研究だと第556号の126ページ、登記先例解説集だと第393号の45ページに解説が掲載されています。

この解説によると、「当該代表者の代表権限が消滅している旨を明らかにする必要がある」ことになっていますので、登記申請書に明らかにしなければなりません。
登記申請書の記載に関して統一されていないのか、次のように何通りかの記載方法が見られます。

1.登記義務者の代表者の代表権限は消滅しているが、代表権限を有していた時期は・・年・・月・・日から・・年・・月・・日である。

2.義務者の代表者 代表取締役 A の代理権限は消滅している。
代理権限を有していた時期は・・年・・月・・日から・・年・・月・・日である。
本件申請時の義務者の代表者は、代表取締役 Bである。

3.登記義務者の代表者Aの代理権限は消滅している。
代理権限を有していた時期は・・年・・月・・日から昭和・・年・・月・・日である。

4.登記義務者の 代表取締役 A の代理権は消滅している。
本件申請時の義務者の代表取締役はBである。

などなど。
ちなみに私は「4」の内容で記載をしていますが、今まで一度も補正になったことはありません。

もう一つ気をつけなければならないことがありますが、登記申請書の義務者として記載をする代表取締役は、登記原因証明情報や委任状に記名をしているAではなく、現在の代表取締役Bを記載すると言うこと。
ついつい、Aを書きたくなってしまいますが、あくまでも「登記申請人」は現在の代表取締役と言うことみたいですね。