オンライン登記申請に「登記統一文字」が使用されるようになってから、もうじき4年となります。
この「登記統一文字」に関しては、当時も書いたことがありました

ちなみに、「登記統一文字=人名に使える文字」ではありません。
登記統一文字にはこんな文字?もありますからね。
特殊文字
例えば、上記のような文字が住所の一部などに使われていた場合、使用できると言うことです。
実際にあったのが「○○(株)××寮」と言う住所の登記をしたことがあります。

人名に関しては「戸籍統一文字」が基準になると考えています。
考えているのですが、この意見が通らないことも経験しています。
それは中国の方が氏名に使用している「簡体字」です。
日本の漢字と中国語の簡体字・繁体字を検索・比較できるサイトなんかもあります。→変換ツール

で、通らなかったことですけどね。
少し前に日司連ネット(NSR3.net)でも話題になっていましたが、「刘」と言う文字です。
確かに簡体字で、日本の文字に引き直すと「劉」です。
しかし、この文字は戸籍統一文字にも存在します。
戸籍統一文字

当然ですが、登記統一文字にも存在します。
登記統一文字
しかし、法務局からは「登記には使えない」と言われてしまいます。

この4年の間に、この文字を使う方、2人の登記申請をしました。
2回とも地元の出張所です。

当然、私自身、簡体字は日本の文字に引き直すことは了知しています。
根拠固めをして、参考資料も用意してからの登記申請です。

根拠としては、以下の入管の資料です。
両方ともPDFファイルとなってます。

簡体字等を正字に置換する場合の基本的考え方
在留カード又は特別永住者証明書の氏名の漢字表記について

資料の中に「次に掲げる漢字については,当該対応関係を参照し,原則として正字と字形が一致している第1順位の正字を在留カード等に表記する。」と言う項目があり、「刘」に関しては「刘」が第1順位で「劉」が第2順位となっています。
当然、外国人住民票の字も「刘」でした。

1人目の方の申請をした時には法務局から連絡があり、「住民票は「刘」でも、在留カードは「劉」のはずだから「劉」でないと登記できない。」と言われました。
本人確認書類として、在留カードのコピーが手元にあったので、登記官に提示をしたところこの時は「刘」で登記されました。

1年後ぐらいに2人目の方の申請をした時にも法務局から連絡があり、「「刘」は「劉」に引き直して登記をします。」と言われました。
この時も前述の入管の資料と在留カードのコピーを根拠として交渉をしましたが、「同じ法務省とは言っても入管は入管で、法務局は法務局なので、「刘」では登記できない。」と言うことで、「劉」で登記されました。

その後も、この件に関しては納得できていない部分もあり、資料探しなどをしていたのですが、最近、「法務通信」の746号(2013年9月号)に「不動産登記における外国人の氏名表記について」と言う記事が掲載されていることを知り、バックナンバーを取り寄せました。

法務局の職員が書いている記事で、「私見」とは前置きされていますが、在留カードには中国簡体字等が正字等と字形が一致しているものについては、当該正字等が記載される取り扱いなので、外国人住民票の氏名に記載されている文字は日本の正字等と言うことになり、そのまま登記できると考える旨が記載されています。

次に同じような案件が出てきたら、上記「法務通信」も資料として使おうと思います。

ちなみにですが、前述のとおり「刘」は戸籍統一文字に存在する文字です。
日本人の氏名に「刘」が使われている場合、「劉」に引き直せ!と言われることはありません。