今日は暑い一日でしたね。
9月に入り、少しは涼しくなるかと思いましたがもうしばらく残暑が厳しそうです。

さて死因贈与の話でも。
死因贈与契約証書で死因贈与の執行者が指定されている場合は、相続人の協力を要せず受贈者と執行者で所有権移転登記を申請することができます。
しかし、死因贈与契約証書が公正証書か私署証書かによって、執行者の代理権限を証する書面に差異が生じます。

死因贈与契約証書が公正証書の場合は、当該公正証書のみで執行者の代理権限を証する書面となりますが、私署証書の場合は死因贈与契約証書だけでは執行者の代理権限を証する書面にはなりません。
この場合、次の2つのパターンによることになります。

1.死因贈与契約証書に押印した贈与者の印鑑について贈与者の印鑑証明書を添付する。
2.贈与者の相続人全員の印鑑証明書付きの承諾書を添付する。
当然、2の場合には相続人全員と言うことを証する相続証明書も必要になります。
ちなみに、1も2も印鑑証明書に3か月と言う制限はありません。

おそらく、死因贈与契約を締結するような場合、贈与者の相続関係に不安要素がある場合が多いのではないでしょうか?
となると、我々が死因贈与契約締結の段階から相談を受けた場合は将来、速やかに登記までできるようにしておかなければなりませんよね。

まずは、公正証書で死因贈与契約証書を作成することを勧めることでしょうか?
もし、依頼者が公正証書に難色を示すようなら、贈与者には死因贈与契約証書に実印を押印させ、受贈者に贈与者の印鑑証明書を交付してもうらう必要がありますよね。

万一、依頼者が持参した死因贈与契約証書が私署証書で、執行者の定めが無かったり、相続人の協力が得られない場合には、家庭裁判所で執行者を選任してもらうこともできますけどね。

この件に関する参考資料は以下のとおりです。

・登記研究 第566号 131ページ「質疑応答」
・登記研究 第741号 39ページ「実務の視点」
・登記研究 第817号 107ページ「実務の視点」