3月になりました。
本年度もあと1か月ですね。

さて、先日のことですが宗教法人の代表役員変更登記を受託しました。
今までもいくつかの宗教法人の登記申請はしていましたが、そんなに頻繁にはありません。
そして今回の宗教法人は取引先から紹介された新規の宗教法人です。

で、まぁ、補正になったわけです。
宗教法人の登記に慣れている方だと当然の内容でしょうが、備忘録として書いておきます。

宗教法人の代表役員変更登記の添付としては、書籍等の資料等を確認すると以下のような感じではないでしょうか?
1.申請法人の規則→宗教法人規則など
2.宗教主宰者に選任されたことを証する書面→代表役員資格証明書など
3.代表役員の就任承諾書
4.代表役員の退任を証する書面

これに加えて、必要になる場合と不要な場合がある添付書類が「包括宗教団体の内部規範」です。
ちなみに宗教法人には「単位宗教法人」と、宗派・教派・教団のように神社・寺院・教会などを傘下に持つ「包括宗教法人」があります。
単位宗教法人のうち包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」と言います。

今回登記申請をした宗教法人は「被包括宗教法人」で、今まで申請してきた宗教法人もすべて「被包括宗教法人」でした。
そして、今までの登記申請では一度も「包括宗教団体の内部規範」を添付したことがありませんでした。

今回登記申請をした宗教法人から預かった書類の中に「包括宗教団体の内部規範」である包括宗教団体の宗制抜粋が含まれていたのですが、今までの経験から不要な書類と判断をして添付しませんでした。
しかし、今回の宗教法人に関しては必要な添付書類だったため法務局から補正の連絡があり、宗制抜粋を追送し、登記は完了しました。

「包括宗教団体の内部規範」の要否は、申請法人の規則に記載されている代表役員の選任に関する定め方によって決まることになります。
次のような定めになっている場合は、包括宗教団体の内部規範の添付が不要となります。
「当法人の代表役員は、○○宗(包括宗教法人)の管長が任命する当該寺院の住職をもって充てる。」
この場合は、申請法人の規則だけで包括宗教法人の管長が住職を任命することが明らかとなり、前述の添付書類「2.宗教主宰者に選任されたことを証する書面」に関連付けられるからです。

しかし、次のような定めになっている場合は包括宗教団体の内部規範の添付が必要となります。
「当法人の代表役員は、○○宗(包括宗教法人)の宗制に従って任命されたこの寺院の住職をもって充てる。」
この場合だと前述の不要な場合と異なり、申請法人の住職の任命方法が宗制を見ない限り不明です。
添付書類「2.宗教主宰者に選任されたことを証する書面」が管長名で発行されていたとしても、管長に任命権があるのかどうかが分かりませんからね。

今回、登記申請をした法人の規則の定めは後者でした。
つまり、「包括宗教団体の内部規範」の添付が必要な法人だったのです。

そこで、預かった「包括宗教団体の内部規範」(宗制抜粋)を見てみると以下のような定めがありました。
「○○宗寺院住職任免規程
(任命権者)
第10条 住職の任命は、申請又は特命により管長が行う。

これにより、管長が住職を任命することが明らかとなり、前述の添付書類「2.宗教主宰者に選任されたことを証する書面」に関連付けられることになります。

宗教法人だけでなく、その他の法人に関しても、会社のように日常的に登記申請をしているわけではないので、いつも以上に内容を十分に精査しないとダメですね。