花粉症の方は、大変だったのではないでしょうか?
さて、先日あった事例。
売主:A株式会社(代表取締役:甲)
買主:B株式会社(代表取締役:甲)
A株式会社がB株式会社の全株式を保有している、100%親子会社です。
この場合、利益相反取引になるのか?ですが、類似事例での最高裁判例(昭和45年8月20日)が出ています。
内容は、取締役が会社の全株式を所有し、会社の経営が実質上この取締役の個人経営のものに過ぎないときは、この取引によって両者間に利益相反が生じることはありえないとしています。
なので、100%親子会社間においても、この判例と同様に利益相反が生じることはないと考えられるので、株主総会等の承認は不要とされています。
では、登記申請書には利益相反に関する情報を提供しなくても良いのか?です。
当然、何も提供しないで登記申請をすれば、外形的に見れば利益相反取引なので、議事録等を要求されるでしょうね。
しかし、そもそも利益相反取引ではないのだから、承認も必要ないので、議事録なんか存在しませんよね。
結論として以下のような「100%親子会社であることを証する書面」を添付することになります。
1.A株式会社の甲以外の代表取締役(または甲以外の全取締役)が作成した取引時点で100%親子会社であることの証明書(要印鑑証明書)。
2.取引時点でのB株式会社の株主名簿につき、B株式会社の甲以外の代表取締役(または甲以外の全取締役)が証明をしたもの(要印鑑証明書)。
3.取引時点でのB株式会社の発行済株式総数が判明する登記事項証明書。
通常の利益相反取引で、A株式会社とB株式会社の議事録を添付した方がラクでしょうかね?
どっちにしても、取締役個人の印鑑証明書が必要となってきますので、大差ないですかね。
ちなみに、上記内容の出所ですが、すでに廃刊になっている「登記インターネット」の2011年11月号(3巻11号)です。
監修は「東京法務局民事行政部不動産部門」となっています。